この一冊でゲーム開発が分かる
バージョン:DirectX9 レベル:入門
DirectXの入門書でありながら、とても実践的な内容になってる凄い本。著者の構成力に脱帽です。
「とりあえず」ゲームを動かす為に、押さえる所は押さえ、省く所は省いてます。
そのバランスが絶妙に上手いので、最小限の構成でゲーム開発が分かります。
わずか300ページで分かりやすく解説し、サンプルソースも簡潔で使い勝手が良いです。
とにかく実用性を優先!
DirectXの世界は広大ですが、本書は特に重要なトピックだけ厳選して解説します。
- 3Dモデルの表示と移動
- エレガントなコードの書き方
- セーブとロード
- ビルボード
- 衝突判定
- 経路探索
- 通信対戦
など、どれもゲームの基本といえる実践的なテーマです。
退屈な入門書だと、ウィンドウ表示だけで延々とページが続きます。
それに対して本書は「ゲームを作る」のが目標なので、省けるとこは省いて、メインディッシュだけ扱う内容です。
この辺りの取捨選択の巧さは驚異的で、私も講義内容を考える際に見習っている点です。
最初のステップに
本書でゲーム開発の基本が分かったら、省かれた内容を知るために、他の書籍を読んでみるのもオススメです。
初心者向けで親切に書かれているので、既存のDirectX入門書で挫折した人にも試して欲しい一冊です。
※ここでいう初心者とは「DirectX」の初心者なので、プログラミングはある程度出来る事が前提です。
目安としては、C言語の基礎を理解しているくらい(初級者~中級者)です。
d3dx9dt.libを開けないエラーについて
本書のソースコードをVisualStudio2017で開き、アップグレードしたところ以下のエラーが出ました。
fatal error LNK1104: ファイル ‘d3dx9dt.lib’ を開くことができません。
これは執筆当時のバージョンがDirectX9bだったのが原因です(最新はDirectX9c)。
動かすには、プロジェクトのプロパティ を開き、リンカー → 入力 → 追加の依存ファイル にある
d3dx9dt.lib を d3dx9d.lib に修正して下さい(tを消します)。
ただ、この方法を用いても、私の環境では以下2つは動きませんでした。
・Chapter15:テキストの描画に失敗する
・Chapter16:画面が真っ黒になり操作不能になる ※かなり危険(Chapter16-2は動く)
かなり前に書かれた本ですから、仕方ないですね。。。
おまけ:DirectX9のSDKについて
本書で使うDirectX9のSDKですが、日本語のダウンロードサイトは既にありません…
現在は↓本家Microsoftのサイトからダウンロードできます。
DirectX9 SDK June 2010