大ヒットを生む秘密が分かる
任天堂の成長を支えた故・横井軍平氏のインタビュー集です。
横井氏は数々の大ヒット商品(ゲームボーイ・ゲームウォッチ・光線銃など)の生みの親として有名ですね。
本書には氏が手がけた商品の裏話が多数あり、ひょんな発見が元になっていたりと大変面白いです。
本書はアイデアを生むヒントの宝庫なので、創作に関わる人全てにオススメしたい名著です。
私は本書を読んで、創造力の引き出しが大きくアップしました。
枯れた技術の水平思考とは何か?
横井氏は多数のヒット商品を手がけていますが、それらには共通する開発哲学があります。
それは 枯れた技術の水平思考 という考え方です。かなり有名ですね。
これは一言で言うと
「使い古された技術」の使い方を工夫して、驚くような商品を生み出す
そんな考え方です。
最新技術ではなく、ありふれた技術を組み合わせて、全く新しいモノを創造するわけです。
例えば1970年から発売された光線銃というおもちゃ。
これはターゲット(人形とか)に向けて引き金を引くと、ターゲットが倒れたり、音が鳴ったりします。
かくいう私も子供の頃、夢中になりました。
この光線銃は、センサーとして太陽電池を採用しています。
実はそれまで太陽電池は、単なる「電源」とだけ思われていました。
しかし横井氏はそれを「センサー」として使い、大ヒット商品を生み出したのです。
こんな風に使い古された技術でも使い方を変えれば、面白く斬新なモノとなる。
「枯れた技術の水平思考」の典型例と言えます。
ちなみに、この太陽電池はシャープ製でした。
太陽電池の売上が低下して困った中、こんな新しい使い方が見付かったので、シャープの営業マンが表彰されたそうです。横井氏ではなく(笑)。
ヒット商品の秘密がズラリ
シャープ関係では他にも、電卓の新たな使い道で生まれた「世界的大ヒット商品」のエピソードもあります。
この商品は縮小寸前だったシャープの液晶事業を救ったそうです。
本書にはこんな「枯れた技術の水平思考」の例が、他にもたくさん詰まっています。
私が読んでいて思わず叫んだものを挙げると…
- ラブテスター(愛情測定器)
- レフティRX(ラジコン)
- ゲームボーイ
- ドンキーコング
- コントローラーの十字キー
- ゲーム&ウォッチ
- ファミコンロボット
……ってえぇい、多すぎて列挙しきれん!ジッサイどれもこれも凄い。
と、とにかく密度の濃い一冊です。
それはさておき本書は何度読んでも楽しく、アイデアを生むヒントの宝庫です。
創造力を磨きたい人には、強くオススメしたい一冊です。
大先輩の志を継げ
私はゲーム専門学校で講師もしてますが、よく授業中に本書の内容をクイズ形式で紹介してます。
学生の食いつきが極めて良く好評なので、その度に横井氏の深い知見を実感しています。
横井氏は1997年に交通事故で急逝されました。つくづくその早すぎる死が惜しまれます。
偉大な先輩が残した、本書から溢れんばかりの創作哲学を、次世代を担うクリエイターに是非知ってほしい。
心の底からそう思います。