ゲームデザインから人工知能へ
かなりマイナーですが、鋭い洞察がキレている一冊です。
著者の清水亮氏は、ゲーム界隈では有名な開発者です。
若くして米マイクロソフトでDirectXの開発に携わり、また情報処理推進機構から天才プログラマーにも認定されています。
氏が若干20歳!で出版したDirectX解説本には、私も昔お世話になりました。
最近では人工知能の研究などで活躍しています。
そんな清水氏の奇才感あふれるゲームデザイン観が読めるのは、本書だけです。
気楽にサクッと読める
本書は一般的なゲームデザイン論とは異なり、独特の切り口で迫っています。
- ゲームバランスと数式
- モンタージュ理論
- 複雑系
- 人工知能(と人工無能)など
一見すると、なんだか難しそうなテーマですね。
著者の凄い経歴を見た後だと、難解な内容を想像するかもしれません。
しかしそんな事は一切無く、スラスラ読める分かりやすい文章になっています。
また分厚いわけでもなく200ページ弱に収まっているので、気楽にサクッと読めるかと思います。
ゲームデザインのヒント集として
本書では、著者のゲームデザイン観が熱く炸裂しています。
短く簡単に読める本ですが、やたら深い洞察が多く、ゲームデザインのヒント集として秀逸です。
実は私は、このレビューを書くため(2017年に)読み直したのですが、今更ながら著者の鋭さに唸らされました。
特にゲームバランス関係の記述は多くの示唆に富み、行数以上に得るものが大きいです。
また講師としての目線で見れば、例の挙げ方が上手いです。
難しそうなテーマでも、分かりやすい「典型的な例」を探して説明しているので、説明上手だなーと感じました。
学び、そして研究せよ
そんなわけで、本書はゲームデザインや企画を勉強する人へオススメしたい、ゲームデザインのヒント集です。
他の書籍にはない独自の見方が多いので、ゲームを組み立てる「引き出し」を増やすのに有効です。
特に学生の方は
(本書以外にも)色々な書籍を読んで引き出しを増やす!
これが大事です。
自分の主観と経験だけではゲームデザインはできません(断言)。
学びと研究は、絶対に必要ですよ。