デスマは、絶対おかしいよ
デマルコ&リスターの代表作で、世界中に影響を与えた名著。
開発者・管理者を問わず、絶対に読んで欲しい一冊です。
著者は数多くのプロジェクトを計測し、その数字から、ある事実を発見しました。
それは、人間を軽視した開発は失敗する、という事です。
開発者は、取り替え可能な歯車ではありません。血の通った人間です。
しかし、その当たり前が出来ない組織は、なんと多いことか!
創造性を生む環境が分かる
本書は、プロジェクトの人間に焦点を当てた超良書です。
ソフトウェア開発は、頭脳労働であり、開発者の能力は個々に差があります。
だから、代わりの人を宛てがっても、同じ生産性は得られません。
またチーム内のコミュニケーションも重要です。
何もしないと、情報伝達を阻害する要因だらけになります。
つまり人間は機械とは違い、電源を入れたら直ぐ十分な能力を発揮する、なんて事はないのです。
だからこそ、能力を発揮しやすい「環境」が必要になります。
本書は、メンバーの創造性を最大限、あるいはそれ以上引き出す環境とは何か?
を具体的に教えてくれます。
優れた企業の真実
デマルコらは、多くの企業を対象にプログラミングコンテストを行い、生産性に関わる要因を調べました。
その結果は、驚くべきものでした。
なんと、生産性が優秀な企業ほど「作業スペース」が広かったそうです。
つまり、広い机や、人口密度の少ないオフィスが大事だと分かりました。
また「割り込み」の少なさも、優秀な企業に共通する特徴でした。
割り込みとは、電話・上司の呼び出し・オフィスの騒音など、プログラマーの気が散る原因を指します。
これらからプログラマーを遠ざけると、生産性が向上する。
調査の結果、そんな面白い数字が出たそうです。
電話応対を終えてデスクに戻ったら、今までの思考過程が全部ふっとんでしまった…
そんな経験ありませんか?
要するに
広くて静かな場所は最強!
ってわけですね。
本書では他にも、生産性を上げる(下げる)重要な要因を多数解説しています。
あまりに意外なモノが効果的である一方、広く信じられているモノが悪手だったりします。
珠玉のユーモア
デマルコ氏の著作は皆そうですが、本書もユーモアが抜群に冴えています。
とにかく隙あらば笑わせに来て、読者を楽しませてくれます。
例えば、前述したような割り込みが多く、日中は仕事しにくい企業を皮肉って
プログラムは夜できる
また、ダメな管理者の言葉として
考えるひまがあったら仕事しろ!
経営の数字を、開発者に意識させるバカバカしさを解説して
「利益10億ドルを計上」
フーム、なーに、これ。
「四半期最高を記録」
グーグー。
こんな風に、おかしいけど、考えさせられるユーモアがほぼ全てのページに溢れています。
ピープルウェアの観点で…
私が本書を初めて読んだのは、デスマーチで疲弊していた頃です。
当時の職場は、本書で言うところの「わざわざ効率を下げている」ような環境でした。
抗うつ薬を飲みながら働いてましたが、生きる気力が無かったです。。。
そんな時、この本から勇気を貰いました。
そして会社を辞め、ピープルウェアの観点から転職先を決めました。
今でもその経験が大きく役立っています。
だから、
最近仕事が嫌になって来た
忙しすぎて心に余裕が無い
と感じている人にも、ぜひ読んで欲しいと思います。
開発者・管理者を問わず、開発に携わる全ての人にオススメできる名著です。