プログラミングで勝負!(物理)
マイコン電児ランとは、すがやみつる先生が描くプログラミング&バトル漫画の傑作です。
連載開始は1983年!まさに原点にして頂点と言えます。
主人公の少年ランがプログラミング(Microsoft BASIC・アセンブラ)を駆使して、同級生から人工知能まで多彩な強敵と闘い、世界を救います。
当時すがや先生の漫画を読んでIT業界を志した人は多く、今日の日本に与えた影響は計り知れません。
第1巻 マイコンを使えぬ者は、人間にあらず!
極悪!マイコン同盟
まずタイトルにある「マイコン」という単語。これは今の「パソコン」の事です。
正確には「マイクロコンピュータ」と言い、当時は家庭用コンピュータをこう読んでました(業務用コンピュータが馬鹿デカかったので)。
さてこの第1巻の見所は、主人公マイコン電児ラン(本名:嵐ラン)とマイコン同盟の対決です。
マイコン同盟とは、ランの通う聖フラスコ学園で新たに結成されたクラブです(要はパソコン部ですね)。
そのリーダー那智江梨人(なちえりと ロン毛・イケメン)は
選ばれた者だけが、マイコンを使う資格がある!
という考えの持ち主です。
彼はマイコンを使えない生徒に向かって
無能者めえっ!マイコンを使えぬ者は人間以下!イヌ、ネコなみの動物だあ~っ!
とさえ言い放つ鬼畜野郎です(でも以下じゃなくて未満では…)。
それに対し「マイコンは誰でも楽しめるものだ」と信じるランは、その熱い心でマイコン同盟に闘いを挑みます。
繰り出せ!プログラミングテクニック
そんなランの必殺技?を2つ紹介します。
- プログラムRUN プログラムを実行する
- リストダンプ&プログラムチェンジ ソースを表示し、プログラムを書き換える
……なんか地味な感じもしますが、実際にはすがや先生の迫力ある作画が相まってインパクトは抜群です。
私も仕事中にテンションが上がり(同僚の前で)この技を叫びながら真似した思い出があります。
クロニクルを心に刻め
巻末には「ビル・ゲーツ物語」を収録し、当時27歳のビル・ゲイツが紹介されています。
ちなみにWindowsはまだ発売されていない頃の話です(DOSの時代)。
1983年の作品なので、記憶媒体がカセットテープだったり、フロッピーが5インチだったり、アドベンチャーゲームがコマンド式だったりと、色々時代を感じる描写があります。
そんな当時のコンピュータ事情もよく分かるので、今だからこそさらに面白く読めると思います。
第2巻 迫る核戦争!シリコンバレー決戦!!
恐怖!エレクトロンの正体
第2巻であり、残念ながら最終巻です。
1巻は学校周辺で話が進みましたが、2巻ではスケールアップし世界を救うべく闘います。
秋葉原でプログラムコンテストに挑むラン、その最中に闇の組織エレクトロンの存在を知ります。
地球壊滅を目論むエレクトロンを倒すべく、ランは国際電子警察と共にシリコンバレーへ翔びます。
そこでランは、エレクトロン首領の恐るべき正体を知ります。
人類滅亡3分前
首領の計略により、米軍の核ミサイルがソ連へ発射され、地球に核戦争の危機が迫る。
世界中のコンピュータは全てクラックされ、もはや為す術の無いラン。
そこへアメリカ大統領が駆け付け、ランに世界の命運を託す。
起死回生の切り札は、北極海にあった!
第1巻以上に熱く激しいバトルが展開され、プログラマーならずとも手に汗握るでしょう。
果たしてランは核戦争を防ぎ、地球を救えるのか?
林檎の創造主たち
巻末には「アップルIIストーリー」を収録し、スティーブ・ウォズニアックとスティーブ・ジョブズの出会いが語られています。
アップルIIとは世界的な大ヒットを飛ばしたマイコンです。
ここでは、その開発に至る2人の物語を描いています。
まだiPhoneどころかMacすら無い時代ですが、当時のアップルがいかに革新的だったかがよく分かります。
アップルのロゴが今と少し違っていて、ゲイツ物語同様こちらも興味深い内容です。
今だからこそ読みたい
残念ながら、マイコン電児ランはわずか2巻で終了となりました。
当時コンピュータのある家庭はごく僅かで、インターネットも繋がりませんでした。
そんな時代に、このような作品が生まれた事実は、はっきり言って驚愕です。
すがやみつる先生と言えば、アニメ化もされたゲームセンターあらしが有名ですが、このマイコン電児ランも多くの方に知って欲しいです。
と偉そうに言ってますが、私も当時ゲームセンターあらしには夢中だったくせに、本作の記憶は全くないです…サーセン
しかし大人になって本作を読み、その面白さに大きな衝撃を受けたので、この場で紹介させて頂きました。
もし古本屋で見かけましたら、ぜひレジへ直行してみて下さい。
なお自慢ですが、私は1・2巻とも初版を持っています(ドヤァ)。