SFの醍醐味が一気に味わえる
宇宙の真理を一つ言えば、プログラマーはSFが好きです。
ロボット、宇宙船、ミュータント、ディストピア…私もこんな単語にDNAレベルで反応します。
マクロス・エヴァはもちろん、ガルパン・けもフレも正統派のSFです。
我々は気付かずとも、既にSF世界の住人になっているのです。
そんなSF好きのあなたへ、その魅力を詰め合わせセットにした「ハイペリオン」を紹介します。
ハルヒで長門有希が読んでたアレです。
まずシリーズ構成を確認
このハイペリオンシリーズは、大きく4作品に分かれます。
第1部 ハイペリオン
第2部 ハイペリオンの没落
==== ここで一回 完結 ====
第3部 エンディミオン
第4部 エンディミオンの覚醒
(後日譚 ヘリックスの孤児)
時系列もこの並びになっているので、順番に読むのがオススメです。
第2部「ハイペリオンの没落」にて、物語は一旦完結します(伏線もだいたい回収)。
第3部「エンディミオン」は274年後になり、登場人物も(一部を除いて)入替わります。
だから第2部までしか読まなくても、モヤモヤは晴れてスッキリ綺麗な結末です。
その後は蛇足と言う人もいるので、まずはここまで読んでみて欲しいなーと。
そんなわけで、このページではキリ良く第1部と2部を紹介したいと思います。
第1部 ハイペリオン
分からなくても気にするな
壮大な物語が始まる第1作です。
まず言っておきたいのは、最初の50ページで投げないで下さい…
いきなり専門用語や変な人達がポンポン出て来ます。
状況は後で分かるので、気にせず読むのをオススメします。
七人の壮絶な過去を聞け
さて本作は、7人の男女(男6女1+α)が惑星ハイペリオンの時間の墓標なる所へ向かう話です。
何故そんな辺境の地へ向かうか?
簡単に言うと、人類の危機を救うカギがある「らしい」からです。
そして道中で7人はそれぞれ旅立った理由を話して行きます。
第1部のメインは、こいつらの自分語りです。
7人は全員表紙に写ってます(マスティーンは横向いてて見にくいですが)。
上に名前を載せておきますので、読む時の助けになれば幸いです。
なお名前がない3人と1匹?は作中で明らかになります。
SFよくばりセット
第1部はキャラの自分語りがメインで、人類の危機や伏線回収は第2部に持ち越されます。
こう書くとお預けを食らったように思えますが、そんな事はありません。
なぜなら、それぞれの物語は単体でも相当に面白いからです。
同じ世界を舞台にした、多彩なジャンルの物語が楽しめます。
ホラーあり、戦闘あり、終末あり、時間あり、ラブストーリーあり
色んなSFのお約束を盛り込み、さらに謎が謎を呼ぶストーリー。
冒頭で「SFの醍醐味が一気に味わえる」と書いた理由は、これです。
7人の語りを簡単に紹介すると…
ルナール・ホイト カトリック司祭 神の名を叫んだ男
奇妙な惑星ハイペリオンの冒険譚、奥地で出会った部族の秘密とは?
いきなりシリーズで最も重要な話です
フィドマーン・カッサード つよい軍人 戦場の恋人
地上から宇宙まで激しいバトル&バトル。未来兵器が盛り沢山の熱い話。
マーティン・サイリーナス 口汚い詩人 ハイペリオンの歌
400年にわたる激動の人生と、滅びゆく世界を描く。言葉の恐ろしさが分かる章です。
ソル・ワイントラウブ 良いパパな学者 忘却の川の水は苦く
奇妙な病気に襲われた娘と家族の物語。たぶん一番泣ける話、とういうか泣いた。
ブローン・レイミア 凄いもの持ってる女探偵 ロング・グッバイ
サイバーパンクにミステリーとアクション、そしてラブストーリーを融合した高いエンタメ性をもつ章。シモンズの文才が存分に分かる。
領事 ちょっと過去が壮絶過ぎる人 思い出のシリ
奇妙な関係の切ない恋物語。連邦政府の闇が見え始め、読んだらすぐに第2部が欲しくなる罪深い内容です。
ヘット・マスティーン 森霊修道士 ?????
?????????????
謎、謎、謎アンド謎
作者はジャンルを巧みに織り交ぜ、共通する大きな謎を提示して来ます。
この色々な謎が不気味というか、不思議というか、あまりに不可解です。
私は続きが気になって、第1部を読み終えるやいなや書店へダッシュしました。
第2部 ハイペリオンの没落
怒涛の伏線回収に驚け
第1部で主要人物のバックボーンが分かり、いよいよ人類の存亡を巡る物語が動き出します。
ちなみに私は泣きました。だって色々切ないんだよお。
それはさておき、本作では「時間の墓標」に到着した前作の面々が、個々の運命と向き合い、明日へと立ち上がります。
一方で、今まで語られなかった連邦政府の内部も描かれ、人類の歴史と敵の正体が分かってきます。
そんな「ミクロとマクロの視点」を多彩に織り交ぜながら、前作の謎が解き明かされて行きます。
みんな一生懸命で泣ける
黒幕は何処にいる?
そして判明する真実、悲壮な決意と共に下された決断とは?
人々が最善を尽くし、運命に翻弄されながらも、必死に未来を開く。
こういった描写が重なって、終盤に怒涛のカタルシスがやって来ます。
カッコよくて、切なくて、泣いちゃうけど、たまらんぜよ。
シュライクの正体
ハイペリオンシリーズ影の主役と言えるのが、最強生物シュライクですね。
シリーズ全作品に登場し、謎めいた行動を取ります。
トゲで出来た全身、4本の腕、そして圧倒的な戦闘力。
神出鬼没で時間すら飛び越える。
まさにチートキャラですが、今作で驚くべき正体が判明します。
何というか壮大な目的がありました。
謎は全て解けた…でも
前述したように、物語は一旦ここで完結します。
伏線や謎はきっちり回収されます。
続きが気になる要素は、全くありません。
しかし第3部「エンディミオン」では、さらなる真実が明らかになるんだなこれが。
今作に出て来た「ちょっとした設定」が、実は超重要だったりするので、ぜひ第3部以降も読んで欲しいと思います。
シュライクも元気に登場し、相変わらずの無双戦闘を見せてくれます。
もちろん本サイトでは、第3,4部も紹介しています。