主観にだまされない原則
これは純粋なプログラミングの本ではありません。
しかし論理数学的な思考を学びたい人には、最高のテキストになると断言できます。
ギャンブルの迷信や必勝法を科学的に検証し、謎めいた印象が強い「ツキとは何なのか」を客観的に解き明かしています。
本書を読むと、主観に騙されない冷静な視点を養えるでしょう。
人は結構おバカさん
私は学生時代に本書を読み、人間がいかに感情に流されやすいかを痛感しました。
それ以来、本書に世の中全体を眺める指針を教わったと思っています。
中でも印象的だったのは次の設問です。
今ここにAとB、2つのクジ箱があります。
- 箱A : 全てアタリ。100%確実に80ドルもらえる。
- 箱B : 85%の確率で100ドルもらえる。しかし、ハズレならゼロ。
あなたはAとBどちらのクジを引きますか?
私を含め多くの人はAを選びますが、実はBの方が期待値は高いのです。
うむむ、人間の主観って当てにならないですね。
また「なんだそんなの当たり前じゃないか」と思った賢い方なら
更に本書をより一層楽しめると思います。
本書では、宝くじ・競馬・ルーレットなど様々なギャンブルの事例を取り上げ、主観を排除し、本質を解明して行きます。
そしてその過程で
人間はいかに騙されやすいか
が身に染みて分かります。
プログラミングに置き換えて
本書の「主観を排除した論理的な視点」は、そのままプログラミングにも通ずるものです。
プログラムやコンパイラはひたすら論理的に動きます。
しかし往々にして人間は、主観に流され、その原則を忘れてしまいます。
昔の話ですが、何の疑問も持たずに超絶遅いループを書いていた先輩がいました。
またバグの原因を論理的に考える時間を取らず、いきあたりばったりにソースを修正するだけの人もいました(あ、これは私の事です)。
彼らが特別愚かだとは思いません。人間とは想像以上に判断を誤りやすいのです。
だから常日頃から注意しないと、
気が付いたら主観のワナにハマっている…
そんな状況になりかねません。
プログラマの黄金律
本書から得た教訓は
まずは自分の主観を疑い、論理的に考える!
これに尽きます。
そして、これは全てのプログラマに当てはまる黄金律だと思います。
そんなわけで、読めば「賢いプログラマ」に近付けるオススメの一冊です。